SENDAI ORIGIN

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「やなせたかし」さんの戦争体験から来る思い

 やなせたかしさんは、お亡くなりになられていますが、94歳まで元気で活躍されていた漫画家でした。

 人気アニメ「アンパンマン」の主人公は、自分の顔をちぎって人に食べさせる、というのがあります。そのようなヒーローが誕生した背景には、やなせたかしさんの戦争体験がありました。青年時代6年間軍隊で過ごしたやなせさんは、終戦間近、上海戦争に備え1000キロの行軍をしました。そして飢えに苦しみました・・・。この体験から、やなせさんは痛切に思ったことがあったといいます。

「この社会で一番憎悪すべきものは戦争だ。絶対にしてはいけない」「今の日本では飢えが身近にないので、実感がわきにくいかもしれない。だが、しばらく何も食べないでいれば、飢えのつらさは体験できる。本当に飢えているときには、どんな大金より、一切れのパン、一杯のスープのほうがすっとうれしい」(やなせたかし・明日をひらく言葉<PHP文庫>)。

 戦争とそれによる飢えは、それまでの正論さえもひっくりかえってしまいました。「正義は不安定なもので、ある日突然逆転する」「正義のための戦いなんてどこにもないのだ」(やなせたかし・明日をひらく言葉<PHP文庫>)。

 しかし一方では、逆転しない正義もあったようです。それが献身と愛、弱者を助けること・・・、自分の身を削って人を助けるアンパンマンには、そんなやなせさんの思いが凝縮されています。

「正義を行おうとすれば、自分も深く傷つくものだ。でもそういう捨て身、献身の心なくしては、正義は決して行えない」「困っている人のために愛と勇気をふるって、ただ手を差しべるということなのだ」(やなせたかし・明日をひらく言葉<PHP文庫>)。

 また(私が正義について語るなら<ポプラ社>)では、アンパンマンを書いたのは「本当の正義」を伝えたかったからということが述べられています。アンパンマンはヒーローだが情けない。弱点もある。「正義を行う人は非常に強い人かというと、そうではないんですね。我々と同じ弱い人なんです」(私が正義について語るなら<ポプラ社>)。大変な名言です。弱い部分があるから弱い人の気持ちも分かる、考えてみればそのような部分が自分にないと、同じような境遇の人の気持ちは分からないと思います。こんな私だからこそ正論を言い闘っていけるのか?、と感じ、自己卑下に満ち満ちていた私は、やなせさんの言葉に心が洗われていきました。

 決して最強ではないが、身近な人の幸せを願い、困った人を助けることこそ正義、アンパンマンの歌にもある通り一貫して「愛と勇気」を伝えたアンパンマンを生み出したやなせたかしさん、このような私でも、やなせたかしさんに教えられたことにより、能力・力量を気にせず、毎日の生活を送れています。