SENDAI ORIGIN

YouTubeチャンネル「SENDAI ORIJIN」制作者のブログ

情勢はガンダムの世界観通りに・・・誰も語らなかった機動戦士ガンダムの本質

 

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 連続してアニメ・機動戦士ガンダム絡みの話しになります。しかしそこから見えてくるものの大きさは計り知れなく、今、語っていくことの重要性を感じました。

 現代の日本において非正規労働者が増え、それに伴って家庭を持つということが一つの選択肢に過ぎないという状態が、この日本に作られつつあります。家庭を持とうと思っても家庭を持つほど収入がない・・・そんな状態が作られています。

 一方、有名大学を出てエリートコースを進む者もいます。最初から家庭を持てる、そして家も建てられる収入が保証されます。その層は人を支配する方に回っていきます。そして自分の生活が保障されているために、貧困層の現実が分からないという人間になっていきます。2020年、コロナ禍においては国の政策が迷走に走っています。なぜでしょう。一部の層の利益が優先になり、一般大衆の中に入り、そこからどうすればいいかという論議が行われていないからではないでしょうか。

 本当にこの日本をどうにかしないとならないと思ったとき、官僚の主観的な思いで決めるということでは、うまくいかないのは当然です。一般大衆の上に官僚がいる、その構図では、本当の一般大衆の思いは分からないのです。

 さて、表題に示したアニメ・機動戦士ガンダムにおいて、物語の構図というものは、どういうものだったのでしょう。実は年代的に私は初期のガンダムしか分かりません。ですから私の語るガンダムとは、俗にいうファーストガンダムのことであります。

 ジオン公国ガンダムにおける敵対の組織としては重要な位置づけがされています。それではジオン公国を支配するのは誰か? 権力を振りかざし富を得る支配階級の一族が実質に取り仕切っており、それを悟られないがために、名前だけは有名な思想家の名前を国の名前に使いました。そして国民には愛国心が生まれるように呼びかけていきます。

 その状況に違和感を感じ、客観的な目で演説等を聞き、闘争しなければならないと自覚していったのが、敵対する地球連邦軍の戦士でした。このままではジオン公国の支配階級に支配されてしまう。そういうものとは闘わなければならないという、立ち上がりの気持ちでした。

 ガンダムの劇中に、「自由のための闘い」という言葉を地球連邦軍の戦士の女の子が言う場面があります。さりげなく言うわけですが、この自由のための闘いこそが、支配階級の隷属からの解放されたいという意識の表れであり、現代で言うなら、国家の支配階級の政策の矛盾から解放されたいという気持ちになります。

 1960年代を大学生として生きたガンダムの制作スタッフは数多くいます。学生運動に参加し、逮捕された人物もいます。そういうスタッフたちは何を思うのでしょう。国家権力からの解放、まずそういう物を思うのではないでしょうか?そういうスタッフがガンダム制作に関わっているからこそ、実質の専制国家を打倒するための若い戦士たちの闘いというリアルな構図が作られ、その構図というのは国家と、当時それを問題視する若者の対立という構図が原点にあり、そこからの本心を外に出さないスタッフたちのガンダムの制作が始まったと思われます。

 昔の学生運動では有名な大学の大学生が関わっており、暴力的な面を持っていながら頭脳の方は優秀な者が多く、計画なく行動することは無かったようです。相手を知り相手を分析する、どうしてこの国はそのような思考になるのか、その分析すぐさまなされたと想像できます。

 そこで前回申し上げた「そして、今は皆様一人一人の未来の洞察力に期待します」という、ファーストガンダム劇場3部作のラストメッセージの話しです。富野由悠季氏を筆頭としたガンダムを制作した大卒の優秀な人材は、なぜ、アニメ業界に入ったのか? それまでの活動を見れば、なかなか一般企業には入れなかったのでしょう。しかしガンダムを制作した時、出たのが自己が持ち備えている思想でした。もともと有名大学にいた優秀な人間なのですから、持ち前の思想を表面的に表さず、しかし奥深い物語を作っていったと思われます。そこでそういった人材がこだわったのが、登場キャラクター達の取り巻く環境でした。この人物はどういう形成過程を経て、このような考えになるのか、この人物が発言する背景には何があるのか、そういうことが細かく描写されていきます。実はそこがガンダムの面白いところであります。絶対に意味のない発言をする者はいなく、視聴者を感動させるためという理由にその場限りのカッコイイ発言もありません。なぜこの人はこのような発言をするのか? 付きつめれば、絶対に意味があるのです。

 洞察力という意味は何か?と言えば「物事の本質を見抜く力」です。この洞察力があってこそ機動戦士ガンダムが面白くなり得る訳であって、それがないと、ほとんど意味合いが分からずつまらないものになってしまいます。正に制作スタッフは当時の若者にそういう資質を求めたのでしょう。そうじゃなければこれからの時代を、ただ受け入れるしかなくなる、ガンダム総監督の富野由悠季氏以下、制作スタッフは熱い心意気がメッセージに感じられます。

 この日本が歩んできた道は、江戸時代までの封建制があり、明治維新以降は資本主義が約150年続いています。そんな中で闘争を学生時代に行った高学歴のスタッフは、今後、どういう世の中になっていくのか・・・、ある程度、予想が付いていたのでしょう。国の迷走を予測し、資本主義の限界から来る倒産、解雇、賃金カット、しかし消費税増税と、現在の私達の生活が追い詰められる状況が予想できたのでしょう。

 その時、私達に何が求められてているか、真理はどこにあるのかという洞察力が大切になってきます。その力こそ、私達、一般大衆が訓練しなければならない力であり、国は何を考えているのか、周りの人間は何を考えているのか、これからの時代を生きる上では大切な能力になってくるはずです。

 非正規社員を増やした方が会社は利益を生み出し、設備投資の方にお金はかけられます。そういった状況になるように派遣社員契約社員という制度を、現在では国も認めてしまっています。非正規社員が増えることにより生じる恐ろしさ、生活が苦しく結婚もできない、しかもそれは少子高齢化につながっていく・・・といった連鎖的な問題が膨らんでいくのです。その状況を私達は黙って見過ごしてしまうのか、自分さえ生活が安定すればいいのか、本当に胸に手を当てて考える時代にはなっていると思います。

 その時に大切になってくるのが洞察力です。この国は変わらないのではないな・・・ 私の会社は変わらないのではないか・・・ いやいや、そうではありません。偉い人も普通の人間、自分も普通の人間、そう思って相手の発言を洞察していけば、何でそういう発言をするのか、その背景には何があるのか、気づくはずです。そこで相手を研究するという姿勢が生まれてきます。

 この国を良くするためには、やはり一般大衆階級が物申すという時代にならなければならないでしょう。そのために今、政治が何を考えているのか、ちゃんと洞察して評価を出しておかなければならないでしょう。私には一定の評価はあります。でも個人の思いをここで言うのはいうのは控えさせて頂きますが・・。

 そういった意味で、機動戦士ガンダムの初期の劇場版3部作ラストメッセージ、And now... in anticipation of your insight into the future・・・(そして、今は皆様一人一人の未来の洞察力に期待します)、約30年も前に出された言葉は、特に今年のコロナ禍において、非常に重要なメッセージだったのです。